Zapierは数千のプリビルトコネクタとタスク従量課金モデルを備えた、市場最大規模のノーコード自動化プラットフォームです。Make(旧Integromat)は学習曲線がやや急ですが、クレジット従量課金モデルのため処理量が増えるほどZapierより1アクションあたりの費用を大きく抑えられ、分岐処理を含む複雑なワークフローに強いビジュアル型の自動化プラットフォームです。本記事では、料金・ワークフロー設計・双方向同期の限界・AIエージェント機能を軸に、Zapier vs Makeの選び方を整理します。
結論
- **Zapierを選ぶケース:**スピード、最大規模のコネクタカタログ、非エンジニアにそのまま渡せるUIを重視する場合
- **Makeを選ぶケース:**分岐ロジック、ビジュアルデバッグ、大量実行時のコスト効率を重視する場合
概要:Zapier vs Make
| 比較項目 | Zapier | Make |
|---|---|---|
| 向いている用途 | 非エンジニア、直線的ワークフロー、即時展開 | パワーユーザー、分岐ロジック、大量実行 |
| 料金モデル | タスク従量 | クレジット従量(モジュール1アクション=1クレジット) |
| 連携アプリ数 | 8,000以上のプリビルトアプリ | 3,000以上のプリビルトアプリ + HTTPモジュール |
| フロー制御 | 標準は直線的、Paths・Filtersで分岐対応 | ネイティブな分岐、ループ、エラールーティング、Aggregator |
| 無料枠 | 月100タスク | 月1,000クレジット |
| 入門有料プラン | Pro:年払い月19.99ドル、月払い29.99ドル(750タスク) | Core:年払いで月9ドル、月払いなら月12ドル(10,000クレジット) |
| 初回ワークフロー構築時間 | 5〜10分 | 15〜45分 |
| ビジュアルデバッグ | 実行ごとのステップ別ログ | モジュールごとのペイロードを表示する完全なシナリオインスペクタ |
Zapierを選ぶべきケース
Zapierは最大規模のノーコード自動化プラットフォームで、8,000以上のアプリ連携とタスク従量課金モデルを備えています。Zapierが力を発揮するシーンは次の4つです。
- **スピードと幅広さ。**Gmail、Slack、Airtable、その他数千のニッチなSaaS製品を、コードを書かずに数分でつなげたい場合。カタログの広さが最大の参入障壁です。
- **非エンジニアでも扱える。**トリガー、アクション、フィルター、マルチステップZapはすべて抽象化された概念ですが、コードを書かない人のために設計されています。UIは「真似て動かす」スタイルのワークフローと相性が良いです。
- **AIエージェントを最小構成で構築。**2025年から2026年にかけてZapier Agents、Zapier Tables、Zapier Canvasがリリースされ、多くのユーザーがすでに慣れているUIの中で、ドラッグ&ドロップでAIエージェントを構築できるようになりました。
- **すでにZapierを利用している。**Notion以外の自動化でチームがZapierを契約しているなら、Zapを1本追加するのは摩擦ゼロです。新しいツールを学ぶ必要も、別の請求書を抱える必要もありません。
Zapierの限界
問題は2つ、重要度順に挙げると次のとおりです。**まず、タスク量が増えるほどコストが膨らみます。**マルチステップZapの各ステップは1タスクを消費し、2つのアプリ間の「双方向」同期はZap2本としてそれぞれ別々にタスクを数えます。Proプランの価格は、使用量が増えるごとに段階的に上がっていきます。
- **750タスク:**年払いで月19.99ドル(月払いは29.99ドル)
- **5,000タスク:**年払いで月89ドル
- **10,000タスク:**年払いで月129ドル
- **50,000タスク(Teamプラン):**年払いで月399ドル
請求金額はワークフローの規模に比例して増えていくもので、連携するアプリの数では決まりません。
**次に、分岐ロジックは後付けで、ネイティブではありません。**Paths、Filters、Formatterで多くのケースをカバーできますが、5つの条件分岐とループを含むワークフローはZapierでは大きな手間です。同じワークフローをMakeで組めば、ドラッグ&ドロップで30分程度で済みます。シナリオが複雑になるほど、Zapierが摩擦になっていきます。
Makeを選ぶべきケース
Makeはクレジット従量課金モデルを採用するビジュアル型の自動化プラットフォームです。シナリオ内のモジュール1アクションが1クレジットとして数えられ、同じ処理量で比べると、Zapierのタスク課金より大幅に安く収まります。Makeが力を発揮するシーンは次の4つです。
- **分岐ロジックとフロー制御。**ネイティブなルーター、イテレーター、Aggregator、エラーハンドラーにより、複雑なシナリオを一級の処理として扱えます。5つの分岐とループを含むワークフローも、絡み合ったZapではなく1つのシナリオで表現できます。
- **大量実行時のコスト。MakeのCoreプラン(年払いで月9ドル、月払いなら月12ドル)**には10,000クレジットが含まれており、個人や小規模チームのほとんどのワークフローをカバーします。同じ処理量をZapierでこなすにはProプランの10,000タスク階層(年払いで月129ドル)が必要で、Makeの14倍以上の金額になります。
- **ビジュアルデバッグ。**Makeのシナリオインスペクタは、各モジュールでのペイロードを表示し、リプレイやステップ実行も可能です。Makeのシナリオを調べるのは数分、Zapierの10ステップZapを調べるのは半日仕事です。
- **データで考えるパワーユーザー。**MakeはJSON、配列処理、モジュールマッピングを各ステップで露出させています。ペイロードで考えることに慣れている方なら、Makeの設計はそのまま強みになります。
Makeの限界
自由度の高さは、そのまま扱いの難しさにもつながります。導入前に押さえておきたい弱点は次の3つです。
- **学習コストが高い。**クレジット、シナリオ、ルーター、イテレーター、Aggregator、JSON風の式構文と、難しくはないものの独自の考え方に慣れる必要があります。Zapierなら非エンジニアでも10分でZapを動かせますが、Makeでは最初のシナリオが動くまでに1時間ほどかかります。
- **モジュールのエッジケースでつまずく。**プリビルトモジュールは基本操作なら十分ですが、複雑なアプリのリッチなプロパティ型では取りこぼしが出ます(Notionなら、リッチテキストの書式が往復するうちに崩れる、リレーションは更新できても新規作成はできない、マルチセレクトは配列を手作業で処理する、など)。Salesforce、HubSpot、Airtableにも同種の落とし穴があり、致命的ではないものの、初めて出会うたびに1時間ほど取られます。
- **シナリオが気づかないうちに止まる。**3か月開いていないシナリオは、上流のフィールド構造が変わった時点でアラートも出さずに失敗し、同期がずれたままになっていることがよくあります。ビジュアルデバッガーは役に立ちますが、自分から見に行ったときに限られます。
料金と総保有コスト
比較を具体化するために、同じワークロードを両ツールで動かした場合の実コストを並べます。月およそ200件のカレンダー予定を双方向同期、8フィールドマッピングという条件です。
| ツール | 必要プラン | 月額(USD) | 消費クレジット/タスク | 双方向の扱い | 初回構築時間 |
|---|---|---|---|---|---|
| Zapier | Pro | 年払い$129.00/月払い$193.50 | 約6,000タスク(10,000タスク階層) | Zap2本、状態共有なし | 15〜20分 |
| Make | Core | 年払い$9.00/月払い$12.00 | 約12,000クレジット | シナリオ2本、状態は手動管理 | 45分〜2時間 |
この量で見ると、
- 月額はMake Coreが圧倒的に安く、このワークロードに必要なZapierの階層(年払いで月129ドル)に対して14分の1以下で済みます。
- どちらのツールも、双方向同期を再現するには2本のフロー(ZapierならZap2本、Makeならシナリオ2本)が必要です。共通状態を保持するプリミティブはどちらにもありません。
- 初回ワークフロー構築時間ではZapierが有利です。Makeの初期投資コストは、複雑なシナリオや大量実行のワークロードで償却される設計です。
正しい読み方はこうです。**Zapierはセットアップの速さで勝ち、Makeはコストと制御の深さで勝ちます。**タスク量が増え、ワークフローが複雑になるほど、両者の差は縮まります。
2026年のAIエージェント
両プラットフォームとも2024年から2026年にかけてAIエージェント機能をリリースしましたが、両者の方向性はむしろ鮮明になりつつあります。どの工程をモデルに任せ、どの工程を毎回同じ結果が返る決定論的な処理に残すかという線引きは、AIと自動化の使い分けの基準で整理しています。
- ZapierはノーコードAI路線を強化しています。ドラッグ&ドロップ式のエージェントビルダー、Zapエディタ内のプリビルトAIアクション、自然言語からZapを生成するAI Copilotなどです。エージェント構築のスピードが、制御の深さに優先します。
- Makeはフロー型AI路線を深めています。シナリオエディタに組み込まれたAIモジュール、通常のルーティングロジックでペイロードを受け渡せるOpenAI・Anthropicノード、セルフホストモデル向けのカスタムHTTPモジュールとの密な統合などです。統合の深さが、ワンクリックのセットアップに優先します。
複数のアプリにまたがるカスタムルーティングロジック付きのAIエージェントを構築するなら、2026年時点ではMakeが有力です。非エンジニアの担当者にそのまま渡せるUIの中でAIエージェントを構築したいなら、Zapierが勝ちます。ただし、どちらのツールも、システム間のデータを継続的に整合させるためのものではありません。これは別の問題で、次のセクションで扱います。
どちらのツールも合わないケース:継続的な双方向同期
ZapierとMakeは同じ形をしています。イベント起動型の自動化です。何かが起きるとツールが反応し、ワークフローが終わる。このモデルはほとんどの仕事にきれいに収まりますが、ある一種類の問題では水が漏れます。2つのシステムを双方向で継続的に一貫させ、競合解決まで担保するという問題です。自動化ユーザーの中でいちばんよく見かけるのは、Notionワークスペースをカレンダー、タスクリスト、受信箱と組み合わせるケースですが、制約自体は汎用的なものです。
この一方向の形は、実際の編集画面を見るとはっきりします。まずはZapierのトリガー・アクション選択画面、続いてMakeのシナリオキャンバスです。
専用の同期レイヤーが優位に立つのは、次のような場面です。
- **真の双方向同期。**ZapierでNotionとGoogleカレンダーの双方向同期を擬似的に実現するには、状態を共有しないZapを方向ごとに1本ずつ、計2本構築する必要があります。Make版ではシナリオを2本作成し、状態を手動管理することになります。どちらも更新時に競合する可能性があり、同じアイテムが両方向を通過すると重複や古いレコードが残ります。2syncのような同期レイヤーは双方向を単一の設定として扱い、競合解決を標準搭載しています。具体的なセットアップ手順は、NotionとGoogleカレンダーを連携するすべての方法で最初から最後まで解説しています。
- 繰り返し予定。ZapierもMakeも、Googleカレンダーの繰り返し予定を単一オブジェクトとして見ます。カスタムロジックを書かない限り、発生回ごとにNotionページを作ることはできません。2syncは標準で発生回ごとに1つのNotionページを作成し、フィルター用に
Is Recurringプロパティも提供します。Notion内部で将来の発生回を生成するネイティブテンプレートを使いたい方は、Notionで繰り返しタスクを作成する方法をご覧ください。 - 計量なし、想定外の請求なし。2syncはSoloプラン月9ドル(月払い。年払いなら月7ドル)で動作し、タスクやクレジットでの計量はありません。同じ料金モデルでTodoist、Outlook カレンダー、Gmailもカバーし、請求書は変わりません。
- 学習コストなし。Zapを組む必要も、シナリオを配線する必要も、式を書く必要もありません。Notionデータベースを選び、フィールドをマップし、本稼働に切り替える。セットアップウィザードは6ステップ、所要時間5分です。
2sync 概要
2syncでは2020年以降、202か国で127,000件以上のアカウントが作成されています。ユーザーのうち**88.3%(96,484人)**がGoogle カレンダーをメイン連携として接続し、78.9%がZapierやMakeではネイティブに実現できない双方向同期を運用しています。プラットフォーム全体で2020年以降に処理された同期件数はおよそ250万件です。Well Awareのようなお客様は、顧客との打ち合わせ履歴をすべて2sync経由でNotionにミラーリングしています。
ご自身のNotionワークスペースで2syncを試す
NotionとGoogleカレンダーを5分以内に接続。初日から双方向同期、Zapやシナリオを学ぶ必要はありません。
判断マトリクス:ブランドではなく目的で選ぶ
3つのツールはそれぞれ異なる問題を最適化しています。最もシンプルな判断ルールは、自分の実際のワークフローから出発し、それを解くツールを選ぶことです。
| Zapierを選ぶケース | Makeを選ぶケース | 2syncを選ぶケース | 2syncと他ツールを併用するケース |
|---|---|---|---|
| 最大規模のコネクタカタログがほしい | 分岐、ループ、エラールーティングが必要 | 課題が「Notionをカレンダー、タスク、メールと同期し続ける」こと | ワークフローに同期と自動化の両要素がある |
| 自動化チームを抱えていない | 大量実行時のコストを抑えたい | Zapやシナリオのお守りをしたくない | 各レイヤーに得意分野を任せたい |
| すでに他フローでZapierを契約済み | ペイロードで考え、ビジュアルデバッグを評価する | 繰り返し予定を個別のNotionページにしたい | 必要なコネクタが2syncのカタログに無い |
| AIエージェントのセットアップ速度が透明性より重要 | AIエージェントのフロー制御がセットアップ速度より重要 | セットアップ時間がコネクタの幅より重要 | カレンダー側はネイティブで、ロングテール側は汎用ツールに任せたい |
スタッキングは合理的な選択です。よくあるパターンは「カレンダー、タスク、連絡先の同期(双方向の扱いが強みの領域)は2sync、それ以外のロングテールな単発トリガーはZapierかMake」という構成で、各ツールが得意分野に集中でき、すべてを1つのプラットフォームに乗せるよりも請求が抑えられます。Zapierの候補にn8nが入っている方は、Zapier vs n8n 徹底比較【2026年版】が同じ視点でその選択を整理しています。Zapierを外し、MakeとセルフホストOSSの間で迷っている方には、n8n vs Make 徹底比較が料金とホスティングの観点で意思決定を整理しています。MITライセンスのオープンソース代替をn8nと並べたい方には、Activepieces vs n8n 徹底比較がライセンスとAIエージェントの観点で整理しています。より幅広い9つの代替候補を比較したい方は、Notion向けZapier代替9選をご覧ください。
まとめ
ZapierとMakeはどちらも実在の問題を解く実在のツールです。両者の選択は重要で、片方は洗練と幅広さ、もう片方は制御と深さで勝ちます。ただし、この比較を検索する読者の多くは、2つの問いを混同しています。正しい答えは、自分が実際にどちらの問いを発しているかによります。必要なのは自動化か、それとも同期か。
複数のアプリをカスタムロジックでつなぐのが課題なら、ZapierかMakeが正解で、本記事の残りがどちらのツールが合うかを示しています。Notionをカレンダー、タスク、メールと同期し続けるのが課題なら、どちらのツールもそのワークロード向けには作られていません。2syncはまさにそのために作られています。同期のアプローチが自分の用途に合うかどうかは、2syncとMakeの比較や2syncとZapierの比較で、設定の手間と課金モデルの違いまで踏み込んで確認できます。
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よくある質問
Makeはノーコードですか?
はい。シナリオはドラッグ&ドロップのビジュアルビルダーで組み立てるので、コードを書かずに使えます。ただしデータの変換やマッピングを細かく指定する場面ではJSON風の式構文を使うことになり、ここがZapierより慣れるのに時間がかかる部分です。
Zapierより優れた自動化ツールはありますか?
何を自動化したいかによります。分岐の多いワークフローを大量に回すならMakeが有力で、セルフホストでインフラやデータを自社で管理したい技術チームにはn8nという選択肢もあります。n8nとの違いはZapierとn8nの比較記事で詳しく整理しています。
n8nとMakeはどちらを選ぶべきですか?
セルフホスト、AIエージェントのカスタマイズ、複雑なロジックを重視するならn8n、スピードと洗練されたビジュアルビルダー、運用負担のなさを重視するならMakeが向いています。料金とホスティングまで踏み込んだ比較はn8n vs Makeの比較記事をご覧ください。
ZapierからMakeへ(またはその逆へ)移行できますか?
自動では移行できません。Makeの公式比較ページによるとインポートツールはなく、Zapはシナリオとして手作業で作り直すことになります(ステップはモジュールにほぼ対応)。逆方向の移行ツールもないため、新しい側の動作を確かめてから元のワークフローを止めるのが安全です。


